何故好きなのか


何故自分が【ひぐらし】のことが好きなのかと考えてみると、それは多分この作品は【人の感情の物語】だから、だと思う。



幸せになる為に努力すること、幸せで平穏な生活を維持する為に努力すること。人は幸せになるために、どれだけの【努力】がゆるされるのだろうか。
最善の未来ってなんだろう、もし、苦渋の末に選ばざるを得なかった未来が最善だったのなら、その未来を勝ち取る為に努力した【精一杯】はゆるされることなのだろうか。
他に選べる未来があったなら絶対に選ばなかった未来。そんな【最善】の世界を生きていく未来は【幸せ】と言えるのだろうか。



全ての【感情】には、抱くまでの過程と理由が必ずある。
それらの経緯を物凄く鮮明に描いているのが【ひぐらし】なのだと自分は思っている。描き方が本当に秀逸なのだ……。
プレイヤーは、例えそのキャラが抱いた感情に【共感】ができなくとも【理解】だけは出来るようになっていると思う。そして、プレイヤーが抱いたその【理解】がこの物語を一層深く感じさせる要因になっていると自分は思う。


――誰かに助けて欲しかった。自分の力だけではどうしても抜け出せない苦境だったから、首まで沈もうとする沼の中から精一杯手を伸ばして、誰かに掴んでもらえることを期待していた――